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seq2seq

自然言語処理に関するタスクは、言語の時系列データを別の時系列データに変換するような問題として定式化することができます。

  • 機械翻訳のタスクでは、ある言語の文章(入力時系列データ)を別の言語の文章(出力時系列データ)に変換します。

  • 要約のタスクでは、長いテキスト(入力時系列データ)を短い要約文(出力時系列データ)に変換します。

このように、自然言語処理の多くのタスクは、時間的に順序付けられたデータを取り扱い、それを新しい形式の順序付けられたデータに変換するプロセスとして捉えることができます。このプロセスは、データの時系列的な性質と言語の構造的な特徴を考慮に入れる必要があります。そのためのモデルは、seq2seqと呼ばれます。

1seq2seqの原理

seq2seq(Sequence-to-Sequence)はEncoder-Decoderモデルとも呼ばれます。その名前が示す通り、EncoderとDecoderの2つのモジュールから構成されています。

  • エンコードとは、情報をある規則に基づいて変換することを指しています。具体的には、入力シーケンスを取り込み、それを固定長の内部表現(通常はベクトル)に変換することです。この内部表現には、入力シーケンスの重要な情報がコンパクトにまとめられています。

  • デコードは、エンコーダーから受け取った特徴ベクトルを基に、目的の出力シーケンスを生成します。この過程で、デコーダーはエンコーダーが提供した情報を「解釈」し、それに基づいて適切な出力を生成するための処理を行います。

fishy

2RNNによるseq2seq

EncoderとDecoderにはRNNを使うことができます。

  • EncoderはRNNを利用して、時系列データをhhという隠れ状態ベクトルに変換します。つまり、Encoderの出力は、RNNレイヤの最後の隠れ状態です。

    • 情報の集約:最後の隠れ状態hhに、入力シーケンスの全ての要素から抽出された情報を集約しています。これにより、タスク(ここは機械翻訳)を完成するために必要な情報がエンコードされます。

    • 固定長の表現:RNNによって生成されるhhは固定長のベクトルです。エンコードするとは、任意の長さの文章を固定長のベクトルに変換することなのです。

ht=EncoderRNN(e(xt),ht−1)h_t = EncoderRNN(e(x_t),h_{t-1})
  • DecoderもRNNを利用します。Decoderの役割は、単純にvector-to-sequence RNNであり、Encoderから受け取った固定長の隠れ状態hhを使用して、目的の出力シーケンスを生成することです。

    • 出力シーケンスの生成: Decoderは、Encoderから受け取った隠れ状態を初期状態として利用し、出力シーケンス(例えば翻訳されたテキスト)を一つずつ生成します。

st=DecoderRNN(d(yt),st−1)s_t = DecoderRNN(d(y_t),s_{t-1})

ただし、s0=hts_0=h_t

まとめると、RNNによるseq2seqは、EncoderのRNNとDecoderのRNNの二つのRNNによって構成されます。この時、RNNレイヤの隠れ状態がEncoderとDecoderの「架け橋」となります。

seq2seqの革新的な点は、入力と出力系列の長さnxn_xとnyn_yについて、nx=nyn_x=n_yという制約がなく、両者が違っても構わないという点です。

順伝播では、EncoderからDecoderへエンコードされた情報がRNNレイヤの隠れ状態を通じて伝わります。そして、seq2seqの逆伝播では、その「架け橋」を通って、勾配がDecoderからEncoderへ伝わります。

3seq2seqの汎用性

seq2seqの構造によって、任意の系列データを扱うことが可能になります。系列にモデル化できるのであれば、文章、音声、ビデオなどを含めて、異なる種類のデータやタスクに適応することができます。

  • チャットボット: ユーザーの質問やコメント(入力系列)に対して適切な応答(出力系列)を生成するために使用されます。

  • 音声認識: 音声の波形(入力系列)をテキストの形式(出力系列)に変換します。

  • 要約システム: 長いテキスト(入力系列)を短い要約文(出力系列)に変換するために使用されます。

  • 画像キャプション: 画像(入力系列)を解説するテキスト(出力系列)に変換します。

4PyTorchによるseq2seqの実装

4.1Encoderの実装

seq2seqモデルのEncoder部分を定義します。

  • 初期化

    • self.hidden_dimとself.n_layersは、LSTMレイヤーの隠れ層の次元数とレイヤー数を定義します。

    • self.embeddingは、入力データを埋め込むための埋め込みレイヤーを定義します。このレイヤーは、入力データを低次元の密なベクトルに変換します。この埋め込みレイヤーは、入力次元数と埋め込み次元数を引数に取ります。

    • self.rnnは、LSTMレイヤーを定義します。このレイヤーは、埋め込みレイヤーからの出力を受け取り、隠れ状態とセル状態を更新します。このLSTMレイヤーは、埋め込み次元数、隠れ層の次元数、レイヤー数、そしてドロップアウト率を引数に取ります。

    • self.dropoutは、ドロップアウトレイヤーを定義します。このレイヤーは、過学習を防ぐために訓練中にランダムにノードを無効にします。

  • forward

    • 入力テキスト(src)は埋め込みレイヤーself.embeddingを通過し、その結果得られる埋め込みはself.dropoutで調整されます。

    • Dropoutを適用した埋め込みがLSTMレイヤーを通過し、出力として隠れ状態とセル状態が生成されます。

このエンコーダークラスは、ソーステキストを入力として受け取り、それを一連の隠れ状態とセル状態に変換します。これらの状態は、次にデコーダーに渡され、ターゲットテキストの生成に使用されます。

4.2Decoderの実装

seq2seqモデルのDecoder部分を定義しています。

  • 初期化

    • self.output_dimは、出力の次元数を保存します。これは通常、ターゲット語彙のサイズに対応します。

    • self.hidden_dimとself.n_layersは、LSTMレイヤーの隠れ層の次元数とレイヤー数を保存します。

    • self.embeddingは、入力データを埋め込むための埋め込みレイヤーを定義します。このレイヤーは、入力データを低次元の密なベクトルに変換します。この埋め込みレイヤーは、出力次元数と埋め込み次元数を引数に取ります。

    • self.rnnは、LSTMレイヤーを定義します。このレイヤーは、埋め込みレイヤーからの出力を受け取り、隠れ状態とセル状態を更新します。このLSTMレイヤーは、埋め込み次元数、隠れ層の次元数、レイヤー数、そしてドロップアウト率を引数に取ります。

    • self.dropoutは、ドロップアウトレイヤーを定義します。このレイヤーは、過学習を防ぐために訓練中にランダムにノードを無効にします。

    • self.fc_outは、全結合レイヤーを定義します。このレイヤーは、LSTMレイヤーからの出力を受け取り、最終的な出力を生成します。この全結合レイヤーは、隠れ層の次元数と出力次元数を引数に取ります。

  • forward:入力トークンのバッチ、前の隠れ状態、前のセル状態を受け入れます。

    • Decoderは一度に一つのトークンしか処理しないため、入力トークンは、次元を追加するためにunsqueezeメソッドを使用して変形されます。これにより、入力の形状は[1, バッチサイズ]になります。

    • 変形した入力は、埋め込みレイヤーを通過し、その結果得られる埋め込みはドロップアウトレイヤーを通過します。

    • ドロップアウトを適用した埋め込みは、前の隠れ状態とセル状態と共に、LSTMレイヤーを通過し、新しい隠れ状態とセル状態を生成します。その中に、outputは各タイムステップの隠れ状態になります。

    • outputを線形層に通してpredictionを受け取ります。

このデコーダークラスは、入力トークン、隠れ状態、およびセル状態を入力として受け取り、次のトークンの予測、新しい隠れ状態、および新しいセル状態を出力します。

4.3seq2seqの実装

Seq2Seqモデルは、Encoder、Decoder、およびdevice(GPU上でテンソルを配置するために使用)を引数として取ります。

  • 入力(src)とターゲット(trg)のシーケンスを引数として受け取ります。

    • src: 入力シーケンス。これはエンコーダに供給され、情報を抽出し、その情報をデコーダに渡すために使用されます。

    • trg: ターゲットシーケンス。これはデコーダに供給され、訓練中は正解の出力シーケンスとして使用されます。

  • デコーダの出力を格納するためのテンソル(outputs)を作成します。このテンソルは、ターゲットシーケンスの長さ、バッチサイズ、およびターゲット語彙のサイズ(デコーダの出力次元)と同じ形状を持ちます。

  • エンコーダは入力シーケンスを受け取り、最後の隠れ状態とセル状態を出力します。これらの状態は、デコーダの初期状態として使用されます。

  • デコーダは、最初に<sos>(シーケンスの開始)トークンを入力として受け取ります(ここで、前処理の際既に<sos>トークンが追加されていると想定しています)。その後、ターゲットシーケンスの各トークンに対して、前の隠れ状態とセル状態を入力として受け取り、新しい出力(予測)、隠れ状態、およびセル状態を生成します。

  • 各タイムステップで、モデルは前のタイムステップで予測したトークンを次の入力として使用します。これは、モデルが実際にデプロイされている場合の動作により近いです。

  • 最後に、デコーダのすべての出力を含むテンソルが返されます。これは、ターゲットシーケンスの各トークンに対するモデルの予測を表します。